著作権の世紀

  

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著作権の世紀―変わる「情報の独占制度」

著作権の世紀―変わる「情報の独占制度」 (集英社新書 527A)

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福井 健策 集英社 2010-01-15

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書籍紹介

著作権は、「作品」という情報を占有するための、最強の制度である。ディジタル化やネット化で情報の海が爆発的に広がり、作品の囲い込みが技術的に難しくなっている状況下、著作権の存在感はますます大きくなっている。世界的にコンテンツ産業の再編が進行している現在、著作物の独占と共有のバランスはどうあるべきか。豊かな芸術文化が育まれる制度とは？さまざまな事例を挙げながら、変りゆく著作権のかたちを第一人者が解説する。（「BOOK」データベースより）

テスト

第1章 情報の独占制度

1. 著作権は、創造の果実といえる一定の情報（=著作物）について、創作した人に一定期間与えられる「〇〇的」な権利です。ここでいう情報には、文字だけでなく音楽、映像、写真、「◇◇」などが幅広く含まれます。その点で著作権は、広く「情報の〇〇を許す制度」です。情報というものは「〇〇」に向かない面をもっています。というのは、情報はひとりで使おうが100人で使おうが「△△」から、「●●」で使うほうが基本的にはみんなが得をします。その点だけを捉えるなら、誰かのものとして「〇〇」させる理由は少ない。これを「情報の◆◆性」と言います。そのうえ、物と違って「▲▲」が難しい。情報は誰かが「借り」てもなくならないし、どこかで誰かがそれを使ってもわかりにくい。無理というほどではありませんが、「▲▲」はしづらい。これを「情報の××性」といいます。
   < p14, p15 >

2. 加えて、情報の「〇〇」な「◇◇」をできるだけ人為的に妨げないのが、民主社会の基本的なルールです。これはしばしば「思想の〇〇市場」などと呼ばれる、「表現の〇〇」を支える考え方です。ところが、著作権とは、その「〇〇」「◇◇」性をもつ情報のうち一部だけを切り取って、特に「△△」を認める制度です。つまり、権利者がいて、権利者の「●●」がなければその情報を「◇◇」させることができないという意味で、著作権は情報の「△△」制度という性質をもっています。
   < p15 >

3. ではなぜ、著作権という制度が存在し、なぜ、「〇〇」が正当化されるのか。もちろん自分たちが生み出した作品をコントロールできることは、創作者側の自然な欲求でしょう。しかしそれ以上に、一定期間作品が「◇◇」されず、利用からは「△△」を得られることで、創作者とそれを支える人々が「●●」を得る機会を保証する。それがさらなる創作の「◆◆」になるという、「▲▲」の面から著作権と情報占有をとらえようとする考え方が有力になってきています。こうした「▲▲」の面を一方で見つめ、情報の「××性」を他方で見つめながら、望ましい「〇〇」の範囲を考えていく必要があります。
   < p15, p16 >

4. さて、著作物とは何かといえば、法律では「思想又は感情を〇〇的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」をいいます。長い定義ですから思いきって刈り込んで「〇〇的な◇◇」、これだけは覚えていだければと思います。「〇〇性」という言葉は「オリジナリティ」といいかえられることもありますが、高度な独創性は必要なく、その人なりの「△△」が表れていれば足ります。ですから、ブログの文章や投稿サイトのみじかい書き込みなどでも、十分な著作物になり得ます。それでも、あまり社会の中で使えない情報ばかりにならないように、「〇〇的な◇◇」という定義自体が一定の歯止めとして働いています。たとえば、人の「●●」やありふれた「◇◇」は、「〇〇性」がないため著作権による「◆◆」は及びません。「ありふれた◇◇」を別の面からとらえれば、「▲▲的な◇◇」ともいえます。
   < p34 >

5. 著作物だとすると、たとえ被写体の人物が掲載を許可したとしても、「〇〇」が嫌だと言ったら写真は掲載できません。本に載せるのは無断複製・無断譲渡であり、著作権侵害になってしまうからです。そして、これは著作権を考える歳に念頭におくべきことですが、著作権は作品の創作者が生きている間と、亡くなった後も「◇◇年間」かそれ以上、全世界で守られるのが原則です。 欧米では１９９０年代以降、死後「△△」年間保護する時代に入りました。著作者の死後は、利用には原則として「●●」全員の許可が必要です。「〇〇」の全「●●」から承諾をとらないと、写真は使えません。
   < p19 >

6. このように「ありふれた・〇〇的な表現」を著作権の保護対象から除くのに加えて、情報「◇◇」に対する歯止めは、ほかにもあります。たとえば、「△△的事実」やデータは著作物から除かれます。また「●●」や「◆◆レベル」の情報も、「▲▲的」な「表現」ではないので除かれます。「××」されたほうが社会や文化のためになる情報を「◇◇」対象から除くという意味で、これらは著作権にあらかじめ組み込まれた「安全装置」である、ともいえるでしょう。
   < p22, p23 >

7. およそないまぜになって受け取られがちですが、著作権侵害は「〇〇・◇◇な程度に似ている」こととはレベルの異なる問題です。著作権侵害とは、その表現は「△△」され存在を許されないということであり、金銭的な損害「●●」の根拠になり、故意におこなえば「◆◆」の対象にもなります。著作権侵害とは、表現を「△△」されたり「●●責任」を問われてもやむを得ないほどに問題性の高い場合をいいます。私たちが考えなければならないのは、たとえば「参考文献にも挙げないのは◇◇だ」、あるいは「この作品は先人の業績の消化が不十分で、未熟だ」という「▲▲」の問題と、「この作品は△△・排除されるべきだ」という「××」の問題を区別して、どこに境界線を引くか、ということです。
   < p27 >

復習リマインダー

　　江本 健吾

第1章 情報の独占制度 - 著作権から除かれる実用品のデザイン

1. 「創作的な表現」と並んで、情報「〇〇」に対するもうひとつ大きな例外を挙げましょう。それは「◇◇」の「△△」です。たとえばボールべんの「△△」。あるいは乗用車や、既製服の「△△」などです。こうした産業「△△」は「●●」といって、基本的に著作物にあたらない、とされています。著作物にはあたりませんが、「◆◆」という制度があります。これは、著作権のように創作すれば自動的に守られるものと違って、特許庁に出願して登録を認められた「△△」について、似た「△△」の物品を製造することなどは許されなくなる、という制度です。ただし、著作権に比べると、期間・地域・効力などの点でかなり「▲▲的」な権利ではあります。そのせいもあって、実際に「◆◆」される産業「△△」はごく一部のようです。登録がされていない限り、似た「△△」を使うことは基本的には「××」です。また「◆◆」・実用新案登録されたとしても、そもそも既存の製品を写真や映像に撮って使うとか、イラストで使うことにまでは権利は及びません。こうした利用は原則として誰でも「××」にできます。つまり、「●●」は情報としては「〇〇」できず、「××」利用という制度設計になっています。
   < p29, p30 >

2. つまり、ラバーの握りのデザインは、「こうすると握り易く、疲れない」という「〇〇（◇◇）」と一体になっているのです。では、このデザインを、最初に考案した人が著作物として「△△」できるとどうなるか。仮に考案者の許可がなければ似たデザインが利用できないとなると、その「〇〇」を誰も利用できないわけです。デザインを変えて、いわば握りにくいペンを作り続けなければなりませんが、それは「●●」のためにはならない。だから「〇〇性」と結びついたデザインは「△△」になじみにくい。こうした考え方を、「〇〇性」の議論とか、専門用語で「◇◇と表現の◆◆」などといいます。「〇〇性」という制約を受けて作られたデザインは（▲▲的な意味での）「××性」が乏しいから著作権にあたらない、と説明することもできるでしょう。
   < p32 >

3. ただし、実用品のデザインでも二つのケースだけは、例外的に著作物と認められます。第一は「〇〇製作」の「◇◇」です。第二は、「△△」の「●●性」がある場合です。「◆◆して鑑賞の対象となるくらい△△の芸術性・審美性があれば、実用品のデザインでも著作物になる」といわれています。他の著作物では、芸術性の高さなどは問われません。「▲▲性」が認められさえすればよい。そこに描いた人の個性が表れていれば、それだけで著作物として全世界で守られます。ところが、実用品のデザインは先に挙げたような理由で原則として「××」とされていて、「△△の●●性」という、いささか曖昧な高いハードルをクリアしたものだけが、特に著作物として守られるルールです。
   < p32, p33, p34 >

4. 以上のように、著作物かどうかの境界線上にある作品は少なくありません。著作権だとしても類似の表現も含めて長期間「〇〇」させることも、反対に著作物ではないとしてまったくの「◇◇」利用の領域に置くことも、いずれもためらわれるケースもあります。そうした境界線での解決策はひとつ提示されていて、「△△」、つまり「●●」といいます。著作物だとは認めるが、デッドコピー（完全に◆◆すること）のような利用法だけをアウトと考える発想です。ぎりぎりで著作権にあたるということは、逆にいえば「〇〇」の必要性はやや薄い、あるいは「〇〇」させる「▲▲」がそれだけある情報といえます。ある作品を著作物と認めるか、そして著作物だとしてもどのような利用に著作権が及ぶと考えるかは、先に述べた「情報の◇◇流通性」と「××」のバランスにかかわる問題です。こうしたバランスをはかりつつ、どこまで情報に「〇〇」を許すかという、極めて政策的な判断であるといえます。
   < p38, p39 >

復習リマインダー

　　菅野 真希子

第二章 対立するテクノロジーと著作権

1. 本書の冒頭で、ディジタル化・ネットワーク化による情報の「〇〇性」の高まりということを書きました。それは具体的には、「◇◇のない情報流通と個人による△△の増大」というかたちとなって現れています。ネットで情報を流すことは、著作権法では「●●」と呼ばれます。他人の著作物を「◆◆」なくネットにアップロードすると、原則として「●●権」の侵害にあたります。加えて、情報をアップすることは、たいていはどこかのサーバーに情報を記録する行為ですから、「▲▲」で行えば「××権」の侵害でもあります。
   < p42 >

2. ここで、投稿サイトの運営者を含めて、広い意味のプロバイダーの責任について覚えておきたい言葉があります。それは「〇〇」です。アメリカの「◇◇」という、かなり大仰な名前の法律で採用された概念です。たとえばネットの掲示板を例に挙げましょう。掲示板に名誉毀損・中傷にあたるような書き込みがされたとします。とはいえ、プロバイダーが彼らの把握していなかった書き込みについて突然、著作権侵害で損害賠償請求を受けるとすると、ビジネスが萎縮します。そこで、「侵害です」という通知を受け取ってから、一定の手順によって情報を「△△」すれば、プロバイダーは著作権侵害の「●●」を負わなくてよいというルール - これが「〇〇」です。いわば、プロバイダーのビジネスを認めつつも、情報を「△△」すべき場合を定めた法律ともいえるでしょう。もしも、最初から著作権侵害の投稿を「◆◆」しそれに「▲▲」するビジネスであったなら、「〇〇」による免責はおそらく働きません。
   < p49, p50 >

3. 前述したとおり、著作権の大きな機能は、創作者やそれを支える人々の「〇〇」の確保にあります。そうである以上、ジャンルごとのビジネスモデル、どんなしくみで関係者が「◇◇」を立てているかは、無視できません。問題となっている作品の利用方法は創作者のビジネスを「△△」するのか、「●●」するのか。このことは考えてみる価値があります。さらにいえば、そこで「△△」されているビジネスは、まずまず合理的で公正なしくみなのか。それとも、「◆◆」で淘汰されて当然のビジネスなのか。後者ならば、著作権を楯にそんな「◆◆」なしくみを延命させていいのか、新たなビジネスモデルに道を譲るべきではないか、という意見もあるでしょう。既存メディア側には、ネット上の多くのビジネスは創作の成果に「▲▲」するばかりで、創作の苦心と労力を負担していないという不満も強いようです。ネットビジネスは創作者側の正当なビジネスを「●●」し、「××」を適正に負担しているのか。既存ビジネスとの共存の鍵は、その辺りにあるかもしれません。
   < p53, p54 >

4. ご存知のとおり、著作権のなかには「〇〇権」がありますから、著作権者に「◇◇」で音楽、映画、漫画などを「〇〇」することは、原則として禁じられています。もっとも、この原則は厳格に貫くとかなり不便な結果を招きます。TV番組はたいてい著作物だし、録画は「〇〇」の一種ですから、「◇◇」では録画できないはずです。そのため、著作権法には「△△使用のための〇〇」という例外規定があります。これは、「△△」な目的で使うために本人がコピーすることは自由である、というものです。著作権法にはこういう例外がたくさんあって、「●●」というのですが、なかでも「△△」「〇〇」は、おそらく利用頻度が非常に高いでしょう。
   < p38 >

5. こうした「〇〇」複製の拡大と並行して話題を集めたのが、前述のウィニーなどの「ファイル交換ソフト」と、これからご紹介する「〇〇補償金」です。この補償金を、皆さんも払っているのです。CD-RやDVD-Rのような「〇〇」な録音・録画メディアと、その機器の価格には1~3%程度の料金が乗っています。つまり、最初から料金が上乗せされていて、メーカーが「◇◇」しているのです。それがJASRACのような「△△」の団体に分配され、また一部は出版などの「●●」の普及事業に使われるというしくみです。この補償金の「◆◆」範囲や制限自体の「▲▲」、さらには「〇〇複製」を「××的」に制限することの評価をめぐって、2005年頃から権利側とメーカー・ユーザー側との意見が激しく対立しました。
   < p64, p65, p66 >

6. 権利者側は、補償金の「〇〇」を今より「◇◇」して、ipodのような携帯音楽プレーヤーやHDDレコーダー、さらにはHDD付のパソコンのような汎用機器を加えるように求めました。その理由はストレートで、①ユーザーの録音・録画の主役がこうした新しいメディアに移ってきたからです。②こうした私的複製が拡大することによって、「△△」のCDやDVDの売上が落ちている、という認識もあります。他方、多くのメーカーやユーザー団体は「〇〇」の「◇◇」には反対で、むしろ補償金は「●●」に向かうべきだという意見です。反対の理由としては、まず、①「◆◆である」と主張されました。②HDDのような汎用機器に特にいえることですが、私的録音や録画には使っていない方も多い。③DRMの普及で私的複製の余地が減少している、という意見もあります。DRMとは「▲▲」のことです。この関連で、④そもそもDRMのおかげで補償金の「××」は終えたとも主張されました。
   < p66, p67, p68 >

7. このように意見が対立する補償金問題と並んで、「〇〇複製」については、2007年から2009年にかけていくつかの法改正がされましたか。たとえば、不正利用の温床になるという理由で、「◇◇館」での「◇◇」の録画は私的複製から除外しようという「◇◇盗撮防止法」が議員立法で成立しました。また、それまでは仮に元が海賊版でもネットの違法サイトでも、個人使用の目的ならそこからコピーやダウンロードすることは許されたのですが、2010年から、元が海賊版だということを「△△」映像や音楽をダウンロードした場合には著作権侵害とみなされるようになりました。いわゆる「●●」です。以上のようなネットでの作品の「〇〇」な流通や「〇〇複製」の問題を考えるうえでは、次の視点がかかわってきます。第一に、「その利用は市場を◆◆するのか？▲▲するのか？」ということです。「動画投稿サイト」で触れた、「××」の問題です。
   < p69, >p70 >

8. 第二の視点は、「〇〇」が拡大することの功罪です。たとえば、「〇〇」で作品の視聴ごとに課金するようになれば、確実で「◇◇」ではあるでしょう。ただ、それは言ってみればどこで誰が視聴したか完全に「△△」されるということで、ちょっと心配に思う方もいるかもしれません。加えて、私的補償金制度のような「●●」と、「〇〇」との違いとはなんでしょうか。「●●」がまがりなりにも国会で「◆◆」的コントロールの下に決まります。これに対して、「〇〇」のようなテクノロジーは、権利者やメーカー側の「▲▲」で設定できます。ですから、DVDのように、完全「××」がついて、私的複製は事実上できない状態も生まれます。お金を支払って毎回認証を受けないと、見ることもできないという状態も可能です。
   < p71, p72 >

9. 第三に、この関連で、「〇〇複製」は果たしてユーザーの「◇◇」なのか、という視点があります。「〇〇複製」がユーザーの「◇◇」だったら、それを「△△」で一方的に奪うことはおかしい、という話になりそうです。しかし、今の著作権法の規定ぶりを見ると、私的複製は「◇◇」のようには読めません。「◇◇」があるのは「●●」のほうであり、「〇〇複製」はあくまでも「●●」のもつ複製権の「◆◆」です。これらの問題の背後に横たわっているのは、作品の「〇〇」な流通や複製を私たちの文化社会の中で、どう「▲▲」づけられるのか、ということです。それは果たして、またどのレベルまでなら、創作者側のビジネスと支えって「××」できるのか。補償金や「△△」の問題は、こうした議論の中で「△△」づけられるべきだろうと思います。
   < p72, p73 >

復習リマインダー

　　肥田 亮平

第3章 多次的創作の時代 - カヴァー、アレンジと20世紀芸術

1. プロの作った歌詞や楽曲は、多くが「〇〇」という専門の会社に著作権「◇◇」されます。「〇〇」は単なる代理人ではなく、著作権がそもそもこの会社に「◇◇」されるのです。「〇〇」も、さらに大きな団体にこの著作権を「◇◇」します。いずれもなぜ「◇◇」するかというと、「△△」してもらうためですが、これを「●●」といいます。この「集中△△」をおこなう団体を「著作権等△△事業者」といって、音楽の分野ではJASRACがガリバーです。一括して「△△」して、申請があれば利用「◆◆」を出し、利用料金を「▲▲」してもらう。そして手数料を除いた残金を「〇〇」に「××」してもらいます。この「◆◆・▲▲・××」などが「集中△△団体」の役割です。その代わり、何十万という曲について何十万というユーザーとの間で、いちいち「◆◆」を出すか出さないか、料金をどうするかなど交渉していられないので、基本的に、利用方法ごとに「画一料金」で、「被差別的」「非独占的」に利用の「◆◆」を出すのです。
   < p78, p79 >

2. JASRACの信託約款の解釈では、作曲家・作曲家や「〇〇」は、もっている著作権の全部をJASRACに「◇◇」するものの、「△△」や「●●」関連の権利だけは渡さない。それはどこにあるかというと、「〇〇」が介在しているケースでは「〇〇」に残っています。というわけで、「〇〇」が同意しないと「●●」はできないため、バース版についてはJASRACも利用許諾できないのです。さらに、JASRACに「◇◇」されたのは「著作権」だけですが、「●●」は実はもうひとつ権利に絡みます。それは、「著作者◆◆権」の中の「▲▲権」という権利です。「著作者◆◆権」とは著作者だけの「◆◆的」な権利で、誰にも「◇◇」できません。そして「▲▲権」とは、「私に無断で、「××して」、作品を改変するな」と言える権利です。この「××する改変」というところがミソで、何が「××する」のか判断が難しいケースもありますが、作詞家が事前了承していなくてそんなに怒っているなら、おそらく「××する」のでしょう。
   < p81, p82 >

3. 本書の冒頭で「著作権が注目される環境は百年かけて整備された」と書きましたが、これを社会の変化という点でいえば、20世紀は①「〇〇技術」が非常に発達した百年ですね。もうひとつ忘れてはいけないのが、②情報の大量「◇◇」も可能になったことです。「大量〇〇」・「大量◇◇」と軌を一にして、③「△△」の発達・多様化が進みました。そして、以上と並行して、④いわゆる「大衆●●社会」が世界に広がるのです。我流の解釈でいえば、「◆◆と▲▲と一定の××（？）をもった読者・観客層が出現して、それまで一部の××人のものであった文化や知識が大量に●●されていく時代」です。/label>
   < p88, p89 >

4. こうして技術や社会面での変革は、文化の面ではどういう変化をもたらしたのでしょうか。第一に挙げられるのは「〇〇の巨大化」です。第二に、産業として金銭評価はしづらいのでよく軽視されますが、同じくらい重要な変化が「市民◇◇の拡大」です。身近な「◇◇」は、まさに一国の文化のバックボーンです。第三に、作品の内容面の変化として、「複合的、産業的、△△的作品の増加」が挙げられますが、これは次項で詳しく説明します。第四に、二十世紀の最後にかけて強まった傾向が「作品の●●」です。ここでは、作られた作品がさまざまな「◆◆」で何度も利用されることを指します。第五に、最後の傾向として、「ユーザー/メディア/クリエイターが▲▲しつつある」といわれます。「▲▲」しつつあるとはいっても、職業的なクリエイターは厳然として存在し、それが狭き門であることは変わらないでしょう。ただ同時にブログやツイッターに代表されるように、情報の受け手が同時に「××」であり、「××」がまた受け手でもある傾向が強まってきました。
   < p89, p90 >

5. 先に文化面での変化として第三に挙げた、「〇〇的作品」とは何でしょう。19世紀芸術の典型といえる絵画や文字は、いわば「◇◇」の創作者によって作られた「△△」の作品が中心でした。ところが、20世紀芸術の代表ともいえる映画は、映像を作り出すのに監督、カメラマン、美術監督など多くのクリエイターが共同作業を行ないます。同時に映像そのものの他にもさまざまな作品を含んでいます。また、20世紀になって、自動車や量産家具のデザインのような「●●的作品」も増大したことは説明不要でしょう。そして何よりも「◆◆的作品」が増大したのです。原作をもとに漫画家した作品などを「二次的著作物」といいますが、そこからさらにアニメ化したらい、そのアニメをTVゲームにした場合、いわば三次的著作物、四次的著作物が生まれます。このような「◆◆的」な作品が現代では非常に多いですね。
   < p91, p92, p93 >

6. さて、しばらく技術や社会面での革新が文化にもたらす変化について述べてきましたが、こうしたことすべてが、著作権を代表とする情報の「〇〇制度」が強調される下地を作ってきたように思えます。まず、「◇◇」が巨大化すると、著作権があるかないかで「△△」がまったく変わります。逆に言えば、おおむね著作権が機能しているからこそ、作品から巨額の「△△」が得られているのです。これは特に、「●●芸術」といわれる書籍、映画、レコードなどのジャンルにあてはまります。このように、「◇◇」が巨大化することで、著作権の重要性は格段に増大しました。同様に、「◆◆活動」の普及により、著作権がはたらく場面は「▲▲」にも広がりました。
   < p99, p100 >

7. 他方で、「〇〇的作品」や「◇◇的作品」では、作品を創造・利用するうえで著作権をクリアしなければならない場面は格段に増えます。たとえば、大勢で集団創作した作品は、基本的に著作権は「△△」です。「△△」の場合には、権利者全員の「●●」がないと作品を利用できません。「◇◇的作品」も同じです。「◇◇的作品」を作ること自体が既存の著作物の「複製」や「翻案」「編曲」を伴うことが多いので、創作には「◆◆」の著作者の権利処理がかかわります。それに作られた二次著作物には「◆◆」の権利も「▲▲」いて、著作権「△△」の場合と同じ様に、そのうちひとりでも「●●」が得られなければ作品は利用できません。こうした事情により、著作権の重要性が高まる一方で、新たな表現や利用と著作権が「××」する場面も拡大しています。短期的にはディジタル化とネット普及の影響が大きいのでしょうが、中長期的には二十世紀の社会と文化の変化が、著作権の重要性や、逆に「◇◇的作品」を中心に著作権との「××」を増やしてきたといえるのではないでしょうか。
   < p101, p102 >

8. 前述のとおり、多次的作品の多くはオリジナル作品の「複製」や「翻案」にあたるため、著作権法の原則からいえばオリジナルの権利者の「〇〇」をとらないと作れないはずです。それでも、現実にはまだ少なからぬ作品が「〇〇」なく作られているように思います。これらには、①「◇◇」が小さいため今のところ問題になっていなかったり、②権利者から「おもしろいからいい」と「△△」されているものがありそうです。つまり、カヴァーの領域で述べた「●●領域」です。「●●」にはふたつの意味があって、法的に解釈が「◆◆」しないものと、現行法ではおそらく「▲▲」だが、「××」として比較的大目に見られているものの双方を含みます。
   < p102, p103 >

9. ところが、この「〇〇領域」は近年、確実に狭まっています。直接の原因は、著作権が日常的に「◇◇」・「△△」されるようになって、権利意識も全般に強まっていることでしょう。このように著作権が「△△」されるようになった時代背景はすでに述べましたが、もうひとつの背景として、「●●」といわれる現象があります。従来の日本では、基本的に法律を強く意識せず、共同体の慣習に従った、ある種協調的な、悪くいえば馴れ合いで長いものに巻かれがちな社会運営が中心でした。しかし、社会の「近代化」が進むにつれて、特に西欧的価値観を強く意識した法システム従ってビジネスや日常生活をおこなっていこうという傾向が強まっています。たとえば契約書を交わそうとか、個人の権利義務を明確にしようといった動きがそうです。こうした「●●」、著作権への「◇◇」の流れのなかで、権利者も「◆◆的作品」にはより厳しい目をそそぎ、「◆◆的創作」をおこなう側も「▲▲」のある表現を避ける傾向が強まっています。従来は曖昧で「〇〇」だった「◆◆的創作」を、私たちの文化のなかでどう位置づけるか、著作権的にはどう扱うか。今、もっと正面切った議論が必要に思えます。著作権の重要性がますます高まった過去数十年、「〇〇領域」は次第にその役割を失い、「◆◆的創作」は、（許諾を得られない限りは）一律で「××」という性格を強めつつあります。その意味では、私たちは、文化史の一大分岐点に直面しているともいえるでしょう。
   < p103, p104, p105 >

復習リマインダー

　　橋爪 由香里

第4章 PD、オア・ノットPD、それが問題だ - 著作権は何年間守られるべきか

1. 著作権の保護期間は、「著作者の〇〇とその死亡の翌年から◇◇年」が原則です。この期間を過ぎると著作権は消滅してしまい、作品を複製するのも上演・演奏や公衆送信するのも、すべて自由になります。これは、「△△条約」という著作権の国際条約で決められた最低水準で、1990年代までは世界のほとんどの国で「死後◇◇年」という保護期間がとられていました。ところが、欧米では190年代に相次いで、この保護期間を「●●年」延長しています。最初はEUが、EU統合の際に一国だけ長かったドイツにあわせるかたちで延長しました。次いでアメリカが、EUとの関係もあり、また映画業界などの強いロビイングで延長しました。このロビイングの中心にいたのがハリウッド・メジャーで、「◆◆」の著作権の保護が切れそうだから延ばすのだといわれ、「◆◆保護法」だなどと揶揄されました。
   < p108, p109 >

2. それでは、なぜアメリカで、そして後に日本でも、保護期間の「〇〇」に反対論が出たのでしょうか。背景のひとつには、著作権の保護期間がその誕生以後、「〇〇」を繰り返されてきたことが挙げられます。アメリカの場合、20世紀の百年間で、保護期間の原則は「公表後28年（更新で42年）」から「公表後９５年または死後７０年」への、約三倍前後に「◇◇化」しました。もうひとつ、他の知的財産権の保護期間と比べると、著作権はかなり「△△」と指摘されることもあります。たとえば、日本の場合、特許権の保護期間は「●●から◆◆年」が原則です。つまり、著作権は特許権の四倍前後の保護期間があることになります。こうした背景もあって、アメリカでの２０年「〇〇」に対して、「このまま〇〇が繰り返されれば、著作権は▲▲的に続くようになるのではないか」という危惧を抱く人々が多かったのです。
   < p110, p111 >

3. 保護期間を延長する理由は、何でしょうか。延長の積極的理由として、「保護期間が長いほうが〇〇の◇◇が高まる」と説明されることがあります。もっとも、現行法でも生前全期間と死後50年までは保護されています。死後５０年経つと通常、「〇〇」本人は亡くなっていますから、それ以上の延長が創作を直接「△△」ことはなさそうです。これに対して、「死後５０年経った後の著作権収入が、その〇〇の記念館の運営費の一部に使われたり、新たな若手の創作に●●されることがある。だから保護期間延長が創作を促進することはあり得る」と指摘されることもあります。死後の著作権収入のかなりの部分は「◆◆」の収入になるでしょうから、全体の何パーセントがそうした「▲▲」に使われているか、調べてみる必要があります。
   < p55 >

4. しかしそれ以前に、果たして死後５０年経ってからの著作権「〇〇」はそんなに期待できるものなのでしょうか。この点 前述のアメリカの違憲訴訟の際には、五人のノーベル賞受賞者を含む、１７名の経済学者が提出した法廷意見が注目を集めました。そこでは、「保護期間を死後５０年から死後７０年に延ばすことによる〇〇の増加は、現在の価値に直せば著作権〇〇全体の◇◇%にも充たない」とされたのです。さらに、もっとストレートに、書籍の「△△」が著者の死後いかに急速に落ち込み、「●●」される作品がいかに多いかを示した研究があります。さらに想像にかたくない話として、生き残る書籍はごく一部の作家に「◆◆」する傾向が強いそうです。死後４０年経つと、大半の著作者の、ほとんどの作品は「▲▲」となり、ある意味では「●●」されているのです。それは何を意味するか。ほとんどの著作者のほとんどの本は、保護期間を延長しても著作権「〇〇」は生まない。著作権者本人はもとより、遺族にすら何の「〇〇」ももたらさないということです。経済的な意味では、保護期間をこれ以上延ばしても「××」の意味合いは薄いのかもしれません。
   < p116 >

5. 著作権が切れることによる創作の「〇〇化」もしばしば指摘されます。保護期間が終了した作品を「◇◇」、略してPDなどと呼びますが、こうした古い作品に基づいて「△△」が作られる例は、数多くあります。こうした多次的創作は、私たちの文化にとって切り離すことのできない豊かな部分を形成しています。仮に保護期間がどんどん延ばされたら、そうした創作の「●●」が細ってしまうのではないか。それは私たちの文化に、目立たずゆっくりと、しかし「◆◆的」な影響を与えてしまうのではないか。延長論に対する「▲▲」の奥深いところには、こうした懸念が横たわっているようです。
   < p116, p117, p121 >

6. もちろん、保護期間が延長されたとしても、権利者の「〇〇」をとれば多次的創作は可能です。ただ、前述の「ジュピター」の例にもあるとおり、多次的創作は、それが意欲的なものであったとしても、必ずしも権利者の「〇〇」を得られるとは限りません。ただし、本当の難関は別なところにあります。それは、著作権は死後、「◇◇」全員の「△△」になるのが原則だということです。そして、「多次的作品」の箇所でも書きましたが、著作権が「△△」されている場合には、権利を保有している全員の「●●」がないと著作物は利用できないのです。たとえばひとりでも「◆◆」したり、あるいは「▲▲」がとれなかったら、仮にほかの「◇◇」が切望していても企画は実現できません。死後５０年以上も経つと、油断するとご本人たちも知らない別な「◇◇」が存在していたりします。その全員を調べて、全員の「〇〇」をもらわないと作品は利用できないのです。
   < p122, p123 >

7. 以上のほか、保護期間延長の根拠として、「作品を〇〇に使われたくないのは遺族の当然の思いであって、現にひどい使い方がある」と指摘されることもあります。この問題は奥行きが深く、作品への敬意のありようを創作者や遺族が「◇◇」できるのか、仮に「◇◇」できるとしても、著作権はそれを達成するための「△△」なのか、という疑問に通じます。どのように作品を愛するか。それはクリエイターも「●●」できない、一人ひとりの読者・観客の聖域ではないでしょうか。加えて、著作者の最低限の尊厳を守るための権利は著作権法で別に「◇◇」されています。それは「著作者◆◆権」で、「氏名表示権権」と「同一性保持権」という、死後を含めて創作者の最低限の尊厳を守るための権利です。著作権は「著作▲▲権」と呼ばれるほどで「××性」があり、現にしばしば対価をともなって「××」されます。保護期間の延長が議論されているのはこの「▲▲権」のほうですから、「著作者◆◆権」とは守備範囲を区別した議論が必要かもしれません。
   < p126, p127 >

8. 保護期間延長論にはこのほかにも、「欧米が採用したからには死後70年は〇〇であり、日本は従うほかないのではないか」とか、「期間を調和させないと作品の◇◇流通が害されるのではないか」といった議論もあります。「欧米並みにならねば」という点についてはここでは論評しませんが、作品の「◇◇流通」については、まさに机上論ではなくて「△△的」な議論が必要だと思います。「◇◇的」なコンテンツ流通の現場にいる者のひとりとしていえば、国による期間の「●●」がビジネス現場で致命的な障害になるのか、「期間が●●だから日本とのビジネスはやめよう」といった事態がそれほど起きるのか、やや疑問は感じます。
   < p127, p128 >

9. こうしたさまざまな点を踏まえて、保護期間を延ばすのと延ばさないのと、どちらが明日の「〇〇」のためになるのかを考えるべきでしょう。その際に念頭におくとよいのが、「法と経済学」などの分野で議論されるように、ある法制度が正当化されるのは、その「〇〇的」な「◇◇」が、その制度による「〇〇的」な「△△」を上まわる場合だけだ、という「●●」の発想かと思います。著作権に限らず、日本では新しい法制度ができるときには、ややもするとムードに流された「◆◆」の議論がされがちです。しかし、現代では、著作権やその他の情報独占制度は、そんな「◆◆」の議論で決めてしまうにはあまりに文化・社会にとって決定的な影響をもっています。「▲▲」と「××」に基づいた、粘り強い議論が必要なのだと思います。
   < p127, 128 >

復習リマインダー

　　並木 祐里

第5章 アーカイヴィングの現在 - 電子図書館、番組ライブラリー、フィルムセンター

1. さて、「アーカイヴィング」といっても色々な意味で使われますが、ここでは既存のさまざまな作品や情報を「〇〇」し、「◇◇」し、そして「△△」する作業とします。「〇〇」して「◇◇」されている情報の束、いわば「●●」を「アーカイブ」と呼びます。その意味では、私たちの一番身近なアーカイブは「◆◆」でしょう。「書籍」という情報を「〇〇」、「◇◇」、公開しています。加えて、少し本を探す手間や順番待ちがある代わりに、「◆◆」は「▲▲」にでも開かれ、そこでは「××」がふんだんに文化と知識の恩恵を受けることができます。こうしたことは「◆◆」だけでなく、もちろん、博物館や美術館にもあてはまります。アーカイブはすでに私たちの身近に数多くあり、そして文化の大きな一翼を担っています。
   < p132, p133 >

2. では、なぜ今あらためて「アーカイブ」という言葉が注目されるのでしょうか。理由はやはり、「〇〇化」と「◇◇化」です。「〇〇化」で情報の大量「△△」・高速処理ができるようになり、そして「◇◇化」で空間を超えて情報の「●●」が可能になった。これがアーカイブの可能性を大きく伸ばしました。そのうち、まずは「ディジタル・テキスト・アーカイブ」、書籍や論文などのテキストアーカイブを見てみましょう。さてこうしたテキストのアーカイブは、もちろんそのまま閲覧したりコピーしたりブックリーダーで読むうえでも便利です。特に、ディジタルデータの場合、自由に文字を「◆◆」して表示できますから、弱視や老眼の方でも読みやすい。さらに、テキストデータ化されていれば、「音声▲▲ソフト」を使って、全盲の方でも聞くことができます。海外在住で書籍の入手が難しい方にも、アーカイブは効用大です。特に海外の研究者が日本語の文献を読もうとすると言葉の壁で大変ですが、テキストデータなら「××」でおよその意味をつかむ助けになる。また、「▲▲ソフト」があれば、感じまではわからない研究者の方でも意味をとりやすいでしょう。
   < p137, p138 >

3. さて、これまで紹介してきたディジタル・アーカイブは、いずれも著作権保護期間の切れた作品が中心でした。その理由は、いうまでもなく「〇〇」の負担です。ここでアーカイブにまつわる著作権の問題を整理しておきましょう。まず、書籍のディジタル化は「◇◇」です。手入力でもスキャニングして画像データにしても「◇◇」である点は同じです。それから、ネットワーク経由でアーカイブを「△△」すれば「●●」です。後述するフィルムアーカイブで、入館者が作品をブースで見られるようになっている場合には「◆◆」です。これらはいずれも著作権にかかわる利用ですから、作品をアーカイブ化しようとするなら、著作権者の「▲▲」がなければできないのが原則です。「△△」どころか、ディジタル化もできません。しかし、大量の書籍についてアーカイブ化のために著作権者の「▲▲」をとるのは、想像するだけで大変です。そこで、多くのディジタル・アーカイブは、著作権の「▲▲」が不要な「××」の作品に対象を絞って収録・「△△」しているのです。
   < p139, p140 >

4. 国会図書館では、この著作者の没年調査と連絡先調査まで総期間28花月、総費用2億6000万を費やしたそうです。国会図書館が直面した問題は、同時に現代の「〇〇」が直面する最大の課題でもあります。およそ「◇◇」しない連絡先調査のためにひとり二千三百円を要し、「△△」現れた権利者には一冊51円が支払われる状況を前に、「何とかならないのか」と感ずるのは筆者だけではないでしょう。アーカイブのようにそもそも非営利だったり、一作あたりの利益率が高くない事業のために大量の作品を利用しようとすると、「●●」はひときわ大きな課題となるのです。2009年、この「●●」の問題を思いもかけない方法で乗り越えようとしたのが、次に紹介する「◆◆検索」です。
   < p142, p143 >

5. 検索エンジンの世界最大手「グーグル」が、世界中にある膨大な書籍の「〇〇」データベース化に着手したのです。「グーグルブック検索」という名称で、古今のあらゆる書籍の「〇〇」をサーバーに蓄積しておいて、誰でもその内容を「〇〇」「◇◇」できるようにしようというのです。「◇◇」したうえで、保護期間が切れていたり必要な許諾を受けた書籍ならば「〇〇」が、そうでない書籍については書誌情報や本文からの「△△」などが表示されます。データーベース化のためにグーグルは、ニューヨーク公共図書館など主要な図書館と提携して蔵書を提供してもらい、大量にスキャンしました。これに黙っていられなかったのは米国作家協会と全米出版社協会で、グーグルのスキャン行為自体が（●●目的での◆◆なので）著作権侵害だと主張して、「▲▲」と呼ばれる集団訴訟を起こしました。グーグル、スキャン行為は、本書でも後に紹介する「××」だと反論。法廷闘争の末、2008年10月、両者の和解案が公表されました。そして世界は、この和解案の内容に驚愕することになります。
   < p143, p144 >

6. 驚くべきことにこの訴訟と若いには、日本を含む「〇〇」の作家や漫画家、出版社などの権利者もほとんどすべてが「◇◇」として含まれていました。2009年9月４日までに「△△手続」をとらない「◇◇」は、自動的に全員がこの和解条件に「●●」される、と言うのです。まず、和解の対象となるのは、2009年１月以前に出版/頒布された書籍と、イラストなどの挿入物です。注意を要するのは、米国内での出版物には「◆◆」されていないことで、つまり「〇〇」の過去の刊行物がすべて対象とされたのです。ただし、権利者への配慮として、米国で刊行中・「▲▲中」の書籍は、当初は全文配信からは除かれていて、権利者の通知で作品ごとに追加できるかたちでした。逆に、絶版や米国で「▲▲」されていない書籍は原則として全文配信が可能で、権利者の通知で取り下げ可、とされていました。基本的に使用から得られた収入の「××%」が権利者に支払われます。
   < p145, p146 >

7. 和解案に対するEU諸国や権利者団体の反応は激烈で、日本でも少し遅れましたが抗議声明を出す団体、対応に苦慮する関係者など大きな波紋を巻き起こしたました。世界を震撼させたグーグル和解案。それを可能にしたのは、一部の者が「〇〇」をもつ多数の者を「◇◇」して訴訟を起こし、訴訟の結果は「△△」全体に及ぶという米国「●●」の制度です。グーグルブック検索の潜在的「△△」は、全世界に千万の単位で存在するでしょう。その人々が気づかないうちに「●●」の当事者隣、和解が正式承認されればグーグルは、一万人以上の人々から書籍配信の「◆◆」を一挙に取得するのと同じ結果となります。個々の権利者から許可を得る通常の方法では、こんな数の「◆◆」は到底得られません。加えて、国会図書館のプロジェクトでも明らかになったように、世界中には権利者が不明な作品、いわゆる「▲▲」が膨大に存在します。これらの書籍については権利者からの「和解離脱」や「配信停止」の通知はまず来ませんから、グーグルは膨大な「▲▲」の書籍を配信できます。ところが、他のネット事業者は、権利者不明の作品については配信許可を得る方法がありません。そのため「▲▲」については、グーグルがネット配信を事実上「××」できる可能性があります。
   < p146, p147 >

8. こうした流れに危機感を募らせた、電子書籍ビジネスでのライバルといえるアマゾンやマイクロソフトも、グーグル和解には強く反発することになりました。米国司法省や著作権局まで懸念を示したため、遂に原告らとグーグルは和解内容を見直し、アメリカ、イギリスなど「〇〇」の書籍だけに「◇◇」を絞ると発表しました。本書の執筆時点でグーグル和解のゆくえは不透明ですが、日本など「非〇〇」の国々との関係は薄れるのかもしれません。しかし、これらの国々にとっても、書籍の「△△」、ひいては新刊本を含めた「●●」にどう取り組むのかという本来の課題は突きつけられたままです。グーグル和解でも示されたことですが、「△△」が権利者に「◆◆」できるなら、それは前述した「▲▲」ビジネスの動きと完全に結びつきます。
   < p147, p148 >

9. 「保護期間延長問題」でご紹介したとおり、多くの作品は短期間で商業ベースでの「〇〇性」を失い、広く「◇◇」しつづける作品は全体のほんの「△△」です。しかし、残された大多数の作品にも幾多の傑作、価値ある作品が含まれていて、まさに貴重な「●●」と言うべきものです。それらの作品にとっては、主に非営利のアーカイブ活動や草の根の「◆◆活動」が頼りです。「◆◆」をきっかけに新たなビジネスチャンスが生まれることもあるでしょう。しかし、多くのケースで「▲▲」が障害として立ちはだかります。「裁定制度」は本来的に、権利者を探す「××」を尽くして、それでも不明な場合だけをカバーする制度です。たとえば権利者が10人わかっていて、そのうちひとりでも反対している場合には働きません。またアーカイブのように往々にして低予算の事業では、「探す××を尽くしてそれでも不明」という条件自体が、どこまでいっても難しい気がします。歴史のなかで、図書館、博物館、美術館、そして在野の研究者たちが連綿とつづけられてきた作品の収集と「◆◆」。アーカイブの整備は地道な作業ですが、深く豊かな文化の基盤を築くうえでその重要性ははかりしれません。
   < p158, p159, p160 >

復習リマインダー

　　橋爪 由香里

第6章 変容する著作権 - リフォーム論、DRM、パブリック・ライセンス

1. こうした背景があって、新たな表現やビジネスと著作権との「〇〇」が目立つようになり「◇◇処理」はむしろ困難さを増しています。そこで、「作品を広く△△させつつ、著作権とどう●●するか、言いかえれば創作者にどう利益を◆◆するか」などの問題意識から、世界的に「著作権▲▲論」が叫ばれるようになりました。現在、「××」は三つの側面での変化に直面しているといわれます。そのうち、もっともストレートに「××」自体を変えようというのが、「▲▲論」です。
   < p163 >

2. その第一は「〇〇制」です。現在、著作権は創作さえすれば世界中でどこでも自動的に守られます。ところが、これが「◇◇」のネックなのです。「〇〇」されていれば、その「〇〇情報」を見れば権利者の連絡先はわかります。しかし、著作権は「〇〇」が必要ないから連絡方法がわからない。権利者を探す作業、つまり以下で説明する「△△」が生まれるのです。さて、「著作権が利用の障害になる」といわれる際には、多くのケースでは「◇◇」にコストがかかることを指しています。こうした「◇◇コスト」は、大きくふたつに分けられます。(1)ひとつはもちろん、許可をもらう代償に権利者に支払う「●●」をいいます。(2)もうひとつは、許可をもらうための作業のコストで、よく「◆◆」といいますが、支払う「●●」以外のコストを指します。後者はさらに、①権利者を探すまでの「△△」、②権利者と「▲▲」して許可をもらうための「▲▲コスト」、③権利者が「●●」を受け取るまでの「××コスト」、の三つに分けられます。許諾というと、支払う「●●」のことがつい念頭に浮かぶのですが、国立国会図書館のエピソードで明らかになったように、現実にはこの「◆◆」がかなりの部分を占めます。「作品〇〇制」は、著作物にも「〇〇」を必要とすることで、少なくともこのうち「△△」をなくそうというものです。
   < p163, p164, p165, p166 >

3. そこで登場するのが「〇〇化」という議論です。著作権は本来「◇◇権」が本質ですね。これを、先に述べた「△△」のようにしてしまうのです。ノーとは言えない。その代わり使われたら相応の「●●」が入ってくる、というかたちです。もともと、第1章で書いたとおり、著作権の最大の機能は創作者側の「◆◆」確保だという考え方があります。これを「▲▲論」と言います。「〇〇化」は、金銭で報われればクリエイターの「◆◆」はある程度確保できるはずで、著作権の役割はそれでいいのだという考えです。
   < p171, p172 >

4. 「著作権リフォーム論」の提案には、こうした「〇〇制」と「◇◇化」をアレンジしたといえるものが多いのですが、いずれもそれなりにハードルが高く、大多数の支持を集めるには至っていないのが現状です。そのなかで、本書執筆時点で導入が現実に議論されているのは「△△」です。現在の著作権法には、「私的複製」など、著作権者の「●●」がなくても作品を利用できる「◆◆」の例外規定があります。ただし、利用目的ごとにかなり厳格な条件が決められていますし、「◆◆規定」がない領域では、「●●」を得ない限りは作品はほぼ利用できません。「△△」とは、こうした「◆◆規定」がないものでも、諸般の事情から許されてもよいような「▲▲」な利用は、権利者の「●●」なくおこなえるという一般規定です。アメリカやイギリスの著作権法にある考え方です。
   < p175, p176 >

5. このほか、グーグルやヤフーのようなネットの「検索エンジン」が、しばしばフェアユースの議論では取り上げられます。こうした検索エンジンでは、普段から「〇〇」と呼ばれるプログラムを使って、ネット上のウェブページなどの情報を「◇◇」しています。「△△」に情報を集めておかなければ、私たちがキーワードを入力したときに瞬時に検索結果を表示するのは不可能でしょう。こうした「〇〇」によるウェブ情報の収集（●●機能）は、厳密にいえばネット上のさまざまな著作物の「◆◆行為」です。しかし日本、日本には検索エンジンの収集活動を許す制限規定はありませんでした。そのため、日本では検索エンジンについて１０年以上にわたって、「厳密には著作権侵害ではないのか」という疑問がついて回ったのです。この現実と法律のずれは、2009年に著作権法が改正され、検索エンジンの「●●機能」を合法化する制限規定ができて、ようやく解消されました。フェアユース導入論のなかには、「いちいち▲▲の制限規定を改正するのでは、ビジネスやテクノロジーの変化のスピードに追いつけず、対応の遅れによって日本の××力を削いでしまう。フェアユース規定があれば、新規ベンチャービジネスなどを後押しできる」という意見があります。
   < p178, p179 >

6. そんなことから、日本でも、従来の「〇〇規定」に加えてフェアユース規定を導入しようという意見が昨今強まっています。もっとも、仮にフェアユース規定が導入されても、できるのはかなり「◇◇」された利用にとどまるでしょう。①非「△△」的・「●●」目的か、などの「利用目的」、②「利用される作品の◆◆」、③利用された部分の「▲▲」といった条件に並んで、④その利用がオリジナル作品に「××」を与えないか、が重視されます。フェアユース規定で何でも可能になるような論調を時折見かけますが、それは誤りです。それでも、権利者や世紀ビジネスに悪影響を及ぼさないような一定範囲の利用行為は、フェアユースとして許容される可能性が出てきます。
   < p179, p180 > 

7. 他方で、「アメリカのように〇〇の蓄積がない日本でフェアユース規定を導入したところで、どんな利用が◇◇なのか、一般のユーザーや企業には判断できないから使えない。△△なまま導入しても、海賊版のような悪質な利用の口実に使われるだけだ」という懸念も聞かれます。フェアユース規定が導入される場合、どういう「●●」をクリアした利用が認められるのか、ある程度の指針を「◆◆」で示すことも重要です。また、悪質な利用に対処するため、まだまだ一般人には垣根が高い日本の裁判を、どう身近で「▲▲」していくかという課題もあるでしょう。ただし、本書や前著を通じてご紹介したとおり、何が許される利用で何がそうでないのか、フェアユース規定の導入にはかかわりなく、その境界線はもともと「△△」です。それが著作権という制度の本質から生まれる、限界でもあり奥深さでもあります。法律の基本的なルールを理解しつつ、自分の頭で作品を利用する必要性と「××」を判断し、とるべき「××」はとる。情報流通のあり方が大きく変わりつつある社会では、そうした姿勢はますます大切になるように思います。
   < p180, p181 >

復習リマインダー

　　足達 浩明

第6章 変容する著作権 - 第二の方向性 - 権利の切り上げとしてのDRM

1. 以上が著作権のリフォーム論でした。「第一の方向性」と書きましたが、社会の変化や新たなニーズに対して、「〇〇」そのものを変えることで対応していこうという方法です。いわば、もっとも正攻法な対応です。ところが現実にはこの「〇〇」を変えるということが非常に「◇◇」のが昨今の状況です。第一の方向が進捗しにくいなか、「△△」とは直接関係のないところで、著作権は「●●」と「◆◆」のふたつの方向に分化していくのではないかという予測があります。そう指摘したのは名和小太郎先生で、2004年に刊行された『ディジタル著作権』の中で、「三つの方向性」を予言しています。それらは「標準型（伝統的）著作権像」「▲▲著作権像」「××著作権像」と呼ばれるもので、最初のものが筆者の挙げた第一の方向性と対応します。では、あとのふたつはどう分化するのか、筆者なりに整理してみましょう。
   < p181, p182 >

2. まず「強い著作権像」とは、「〇〇」や「◇◇」で「△△」や視聴などの利用行為を「●●」してしまう方向です。「私的補償金」の項で触れた「◆◆」がその代表例です。前述のとおり、DVDには「CSS」というプロテクションがあって、普通の方法では「△△」して視聴できません。MD、CD-Rなどのディジタル録音再生機器には「SCMS」という措置が施してあり、CDからの「△△」はできるものの、「△△」からの「△△」行為、つまり「孫△△」はできません。こうした「◆◆」は、先に述べたような「▲▲」が簡単に進まないなか、ましてや権利者の希望どおりには進まないなか、権利者側の切り札にもなり得るものです。つまり、話し合いを通じて国会で「××」を通すことがあてにできないなら、「◇◇的」に不可能にするという発想です。
   < p182, p183 >

3. ただし、他方で「〇〇」には「◇◇」を感じる人も少なくありません。確かに、著作権法や審議会行政には改善を求める声もあります。それでも、まがりなりにも「△△」の場で審議され、「●●」の代表が国会で立法しているのは事実です。ところが、「〇〇」は権利者とメーカーなどの「◆◆」だけで決まり、理論的にはどんなに厳しい「▲▲」制限も採用することができます。著作権法に権利規定がなくても、制限規定があっても直接には関係ありません。事実上、ユーザーは権利者とメーカーが決めた「▲▲」しかできなくなります。
   < p184 >

4. それで、第二章で紹介したとおり、「〇〇は一方的に奪ってしまえるものなのか。これはユーザー側の◇◇ではないのか」という議論も起きました。現在の法律の書きぶりでは、「〇〇」はユーザーの「◇◇」ではなさそうです。その証拠に、著作権法には「△△のやり過ぎはいけない」と読める規定はなく、むしろ逆に、「△△はずしはいけない」という規定があるのです。難しい言葉で、「技術的保護手段の回避規制」や「権利管理情報の保護」という規定なのですが、たとえばコピープロテクションが施されたメディアについて、それをはずす装置やソフトウェアなどを頒布すれば「●●」です。そもそも、プロテクションがかかっている場合に、それを「◆◆」のうえではずしてコピーなどすれば「〇〇」ではないという規定もあります。もっとも、実際の社会を見ると、そうそう「△△」を無限に「▲▲」することもできないようです。むしろ「△△」をあえて無くして音楽などを配信する、「△△フリー」のビジネスも一定の広がりを見せています。対ユーザーで商品の「××」を競おうと思えば、過度に厳しい「△△」は課しにくいということでしょうか。
   < p184, p185 >

5. こうした「強い著作権像」に対して、名和先生が挙げるもうひとつの方向性は「弱い著作権像」。いわば「権利の〇〇」とでも呼べるものです。創作者が自ら著作権を一部「◇◇」して、一定の「△△」での利用を社会に対して認めるかたちで作品を公開する方向です。代表格は、前述したローレンス・レッシグ教授の提唱した「●●」でしょう。具体的には、作品を発表する際に、「利用△△」を示す「◆◆」を権利者が表示するのです。すると、それがいわば世間向けの「許可△△」になり、その「△△」を守る人は誰でも使ってよい。こうした方法を、世間向けのライセンスということで「▲▲」などといいます。
   < p185, p186 >

6. よくいわれることですが、クリエイティブ・コモンズは「〇〇」を否定するものではありません。むしろ「〇〇」がないと「◇◇」しないものです。なぜならば、もしも「〇〇」という制度がなければ、筆者がどんなマークをつけて作品を発表しようが、人々はそれにとらわれず「△△」に作品を使ってよいからです。「〇〇」があるから、人々は筆者の作品を使いたければ、マークの「●●」を守らないといけません。そうしないと「◆◆のない使用」として、著作権侵害になってしまうからです。こういうパブリック・ライセンスなどを「▲▲システム」とも呼ぶのですが、「〇〇」を前提としてその「●●」を一部「××」したいときなどに有効なモデルです。
   < p187, p188 >

7. パブリック・ライセンスといえば、実は、もっと古くから広く利用されているものがあります。意外に思われるかもしれませんが、本書でもたびたび登場する、JASRACのような権利の「〇〇」です。「〇〇」のしくみというのは、ひと言でいえば多くの創作者の著作権を集めて、それを「◇◇」の料金で世間の「△△」に対してでも利用許可する、ということです。「◇◇料金」といっても利用法によってまちまちですが、同じ利用法なら、基本的にはあらかじめ決められた同じ料金を支払う。「●●」は不要です。「◆◆的」・「▲▲的」・そして多くの場合には「××的」に許諾するのが特徴です。
   < p188, p189 >

8. この「〇〇」は、しばしば広い意味での「著作権リフォーム」の議論にも登場します。「◇◇処理」の困難さという問題の解決策として一番現実的なのは「〇〇」と、（その前提となる）「◇◇情報データベース」の充実だ、という指摘です。再びJASRACを例にとれば、多くの曲はJASRACが管理していますから、権利者を探すための「△△コスト」がかかりません。また許可を得るための「●●コスト」もほとんどかかりません。たとえば「今から１時間以内にある作品を使うための◇◇処理をしてくれ」と依頼されて、確実にできるのは音楽の分野くらいです。誤解のないようにいえば、「〇〇」自体には著作権法の「◆◆」は不要です。任意のビジネスとして、今でもある程度存在しているのだから、それがさらに「▲▲」していけばよいという話です。このように、著作権の「〇〇」は、「××をもったパブリック・ライセンス」ともいえます。今後、それがクリエイティブ・コモンズのような「〇〇ではないパブリック・ライセンス」と、どう棲み分けや競争をしていくのか。そこにも新たな可能性がありそうです。
   < p190, p191, p192 >

復習リマインダー

　　橋爪 由香里

第７章 擬似著作権と情報の「囲い込み」

1. ところで、本書冒頭で述べたとおり、著作権とは広い意味で情報の「〇〇制度」です。ですから、これまでの話は、社会にある無数の情報のなかから「著作物として切り取られた情報」について、どの範囲で「〇〇」を認めるか、それをめぐってどんな問題が起きているかという議論だったとも言えます。この章では著作権の「◇◇」の話をします。内側の議論をしているあいだに、実は著作物ではない情報の「△△」といえる事態が着々と進行しているという話題です。ここでは、「●●著作権」と名づけましょう。つまり、理論的には著作権ではないのだけれど、社会では事実上、著作権に近いような「◆◆」を受けているケースです。といっても、すでに紹介した著作隣接権のように、「▲▲」がしっかりあるケースとは違います。むしろ「▲▲」はまったくないか、せいぜいが非常に怪しいもので、根拠がないにもかかわらずまるで「××」があるように扱われているケースをいいます。
   < p194, p195 >

2. たとえば「ペットの〇〇権」です。前提として、そもそも「〇〇権」とは何でしょうか。この10年ほどで特に注目度の上がった権利で、要するに「私に◇◇で私の△△を撮ったり公表したりしないでください」というものです。これは無論、著作権ではありません。米国では「●●」の一環として発展した権利で、そのため日本でも「〇〇●●権」と呼ばれることがあります。「〇〇権」を「●●」の一環と考えるならば、芸能人が公的な場に出演しているような場合、たとえば超人気アイドルが満員の東京ドームで派手にパフォーマンスしているときには、「〇〇権」が認められるかは微妙です。では、この写真を生写真として東京ドームの前で売っていたらどうでしょう。なんだか、よくない気がします。なぜでしょうか。それが彼らの「◆◆」だからです。このようにいわゆる「●●」とは異なるところで、「芸能人やプロスポーツ選手の名前や写真を勝手に広告などで▲▲利用されたら困るだろう」という視点から、違う種類の氏名や肖像の権利がやはり米国発で登場しました。これを、一般人に広く認められる「〇〇権」と区別して、「〇〇××権」とか、単に「××権」と呼ぶことがあります。本書では、こうした「××権」も含めて、まとめて「〇〇権」と呼ぶことにしましょう。
   < p197, p198 >

3. では、「ペットの〇〇権」ならばどうでしょうか。あるいは、「自動車の◇◇権」はどうでしょうか。おそらく、「△△」の問題はありません。前述のとおり乗用車の外観は実用品のデザインであって、原則として「△△」ではないからです。ですから「△△」は及ばないでしょうが、もしも自動車に「◇◇」があったら、やはり撮影したりカレンダーに複製することはできません。「●●」の承諾がないためです。そもそもこうしたケースで「●●」とは誰なのかも気になるところですが、仮にそんな権利があったら影響は大きいでしょう。ペットというものは、愛犬家や愛猫家の方には恐れられるでしょうが、法律的には「◆◆」とされています。ですから、スーパーカーの場合と基本的には同じ理屈で、「◆◆」に「〇〇権」や「◇◇権」を認めるか、つまり「◆◆の外観という情報をその▲▲に独占させるのか」との問題になります。これは、裁判上は決着がついた問題です。「競走馬」事件最高裁判決という判例があり、そこで「◆◆の◇◇権」は明瞭に「××」されています。
   < p199, p200 >

4. こんな風に、物の「〇〇」がその物の「◇◇」という情報への「△△権」を主張しているようなケースは他にも見られます。寺社・公園の「●●禁止」を考えてみましょう。その根拠はなんでしょう。「◆◆権」ではないようです。寺社は、仮に「建築の◆◆物」だとしても大半は保護期間が切れているはずですし、そうでなくても「◆◆権法」では、建築の「◆◆物」は基本的に「●●」その他の利用は▲▲という例外規定があります。
   < p131 >

5. もちろん、寺社など人の管理する敷地に入るならば「〇〇り」の許可が要ります。同じように、たとえば作品を所有者から借り出して撮影しようと思えば、貸してもらわないといけませんから、「撮影するために貸してください」ということで事実上撮影の許可を求めることになります。そして、以上はあくまでも、撮影という「◇◇」自体に対する制限の話です。「〇〇らない」と撮影できないケースでは、所有者が施設の管理権限に基づいて撮影をある程度コントロールできているだけです。それは「△△的」に場所を支配していることの「反射的な効果」に過ぎず、所有者に、寺社や公園の撮像という「情報」を「●●」できる「◆◆」な「▲▲」があることは意味しません。しかし、ここでもペットの肖像権と似た現実があります。寺社や公園の「▲▲」は事実上、あるかのように扱われるケースが多い。それが掲載の仕方といった「××」のレベルならば話はわかるのですが、実際に「◆◆」「▲▲」があるかのように掲載の差止が求められたり、お金のやり取りがされるケースも見られます。こうしたものも、擬似著作権の例といえるでしょう。
   < p203, p204 >

6. もう一つ、著作物ではないものが著作物的に扱われる例に、「〇〇」や「◇◇」があります。雑誌に載ればうれしい方が多いのでしょうが、勝手に載せられるのは嫌な場合もあるようで、有名なレストランやラーメン店などで「△△禁止」の表示も見られます。「△△」のしかたによっては周囲のムードが壊れることもあるし、レストランやラーメン店によってはほかのお客さんへの気配りから「△△禁止」にしているのかもしれません。では、そうした「店内マナー」の問題を別にすると、そもそも「◇◇」や「〇〇」の「●●」は著作物でしょうか。可能性があるとすれば「美術の著作物」なのですが、「◇◇」や「〇〇」はおそらく「◆◆」です。「◆◆」のデザインは基本的に著作物ではありません。ですから、通常のケースで「◇◇」や「〇〇」の「●●」に「▲▲権利」があるようにふるまい、お客さんもそう行動すれば、これも「××著作権」といえます。
   < p204, p205, p206 >

7. オリンピックやワールドカップが近づくと、こうした団体から通達が新聞社や出版社などに回ることがあります。よく読むと、通達にはこんなことが書いてあります。「オリンピック」はIOCなどの「〇〇」だから、雑誌の表紙や広告にその言葉を使ってはいけません。記事の文中でワールドカップと書くときには必ず「FIFAワールドカップ」といった「◇◇」で書きなさい。さらにそこには小さく「△△」と書くように、などなど。前述したようなことに、根拠はあるのでしょうか。結論からいえば、雑誌の記事中で言葉を使っても「●●権」もその他の権利もほとんど及びませんので、IOCやFIFAの通達の「◆◆」な根拠はかなり希薄です。つまり、ここでも「▲▲著作権」が生まれていることになります。
   < p206, p207, p209 >

8. さて、擬似著作権の実例を色々挙げてみましたが、これらはいずれも、「〇〇利用の領域にありそうな情報をさまざまな手段で◇◇努力」ともいえます。こうした擬似著作権による最大の弊害は、社会がその情報を「〇〇」に使えなくなることです。申し上げたとおり、情報というものは「△△的」で、基本的には何人で使っても減りませんから、「●●」できれば通常は社会的な「◆◆」が大きいでしょう。なかには、その情報の「◇◇」を許す社会的な「▲▲性」が認められるものもあります。著作権の場合には、「著作者の収入確保による創作促進」が大きな「◆◆」と考えられてきました。こうした「◆◆」が認められないならば、その擬似著作権に対して何らかの「××」を考える必要があります。
   < p209, p210 >

復習リマインダー

　　沢田 絹子

終章 情報の「世界分割」

1. これまで、さまざまな側面から情報の「〇〇」と「◇◇」の現在を見てきました。ここで、無謀は承知でこれらを俯瞰図にしてみましょう。まず、拡大をつづける情報の広大な海原があります。ここでは情報の「△△性」や「●●性」が主な理由で、「誰でも◆◆に情報を利用できる」という大原則が支配します。そのなかで「▲▲管理」される情報があります。筆者が知る限り、現状では情報を「▲▲管理」する方法は三つしかありません。
   < p214 >

2. 第一の方法は「〇〇」です。情報は「◇◇」に伝えなければ事実上「△△」できます。ただし、この方法による占有管理は、情報化社会の進展で年々難しくなっています。相次ぐ情報漏えい事件を例に挙げるまでもなく、一度漏れだした情報は再び「△△」の網の中に回収することはおよそ「●●」だからです。第二の方法は「◆◆」です。本書でもたびたび登場した各種の「▲▲」は、情報を流通させて収益をあげながら、なおかつコピー防止や利用課金といった占有管理を及ぼせる手段です。しかし、この方法にも限界があり、あらゆる技術には「技術による××」がつきものです。一度プロテクションをはずされて流出した情報は、やはり「△△」の網の中に回収することは難しいでしょう。
   < p214, p215, p216 >

3. 第三の、そして現状では最強の占有管理は「〇〇」です（ここでは「個人情報保護法」のような規制法も含めます）。これは、「◇◇可能」な状態で現に流通している情報にも、なお「△△」の網を及ぼす唯一の手段です。いくらプロテクションをはずされたDVD映像を入手した者がいても、それを利用してネット配信ビジネスをおこなえば著作権侵害であり、状況によっては重い刑事罰が科せられるからです。ここに、情報化社会にとっての「〇〇」の決定的な影響力があります。「〇〇」によって「△△」される情報のなかで最大のものは、「●●物」です。「●●物」という情報は、「●●権」によってほとんど占有管理が許されています。誰に利用させるか、利用させないか、それは「●●権者」の「◆◆」です。その情報だけでなく、「▲▲」した情報まで「△△」できることが「●●権」の最大の特徴でしょう。
   < p216, p217 >

4. 著作物にあたらない多くの情報は「〇〇領域」の外です。たとえば「ありふれた、◇◇的な表現」は、「△△性」がないから著作物ではありません。「〇〇」の対象になりますから、破線の外側です。究極の「◇◇表現」として、「●●」や文法も破線の外側です。それから「◆◆」も「〇〇」側です。作品の着想とかテーマといった「▲▲」もそうです。究極の「▲▲」として、「××」や真理もそうです。
   < p217 >

5. それから、作品の「〇〇」も多くは著作物にあたらないと考えられていますから、破線の外側です。同じく「◇◇のデザイン」。これは政策的な理由もあって、現在は「△△製作」の美術工芸品や「●●」の美術性のあるものを除いては著作物ではありません。例外的に「◆◆登録」されると「◆◆権」が働くため「▲▲情報」のなかに入ってきますが、登録されない限りは破線の内側ですし、「◆◆権」は期間も権利の及ぶ範囲も「××」。
   < p217 p218, >

6. また、著作物にあたるけれど、あえて「〇〇情報」の外側に置かれているものもあります。まずは、「◇◇の作品」です。著作権の保護期間が切れれば著作物は「△△情報」の海に帰されるのです。それから各種の「制限規定」があります。たとえば、「●●」は、情報「〇〇」の外側に置かれている。「〇〇」される情報として、近時著作物と並ぶほど拡大したものに、個人の「◆◆」や「個人情報」があります。これは誰が創作したものでもないから著作物ではありませんが、「◆◆権」やプライバシーという別の観点から、一定の条件から「〇〇情報」に入ってきます。他方、「▲▲」には「××権」は及びませんし、所有者は「▲▲」の外観や撮像を「〇〇」できないという最高裁の判例がありますから、ペットなど「▲▲」は原則として破線の外側です。このほか、「特許」「商標」「営業秘密」など、法律で特別に情報「〇〇」が許されている情報はほかにもありますが、情報の量という点では著作物や「◆◆」には遠く及ばないでしょう。。
   < p218, p219 >

7. これらがいわば、情報の「〇〇流通」と「◇◇管理」の現在形であり伝統的なかたちですが、第一に、両者の境界線は「線」と呼ぶにはあまりに曖昧です。しばしば、境界は「△△」です。このように境界が「△△」になるのは、「●●」をめぐる法律という性格上やむを得ない部分があります。そして第二に、この境界が「◆◆」するのです。現在、社会でさまざまに議論されている問題は、独占され囲い込まれる情報の拡大縮小をめぐるせめぎあいということもできます。こうした議論に影響を与えるのは、「▲▲」の変化を引き金にする、産業や消費のあり方といった「××」の変化でしょう。
   < p219, p220, p221 >

8. 15世紀にはじまる大航海時代、列強による世界分割が世界の力の秩序を決定づけたように、過去百年間の技術の発達は「〇〇」の海を爆発的に広げ、あらゆるレベルでその「◇◇」「△△」をめぐる「●●」を激化させているように見えます。グーグル和解のようなディジタル化をめぐる攻防も、こうした「●●」の一環といえるでしょう。情報化社会のゆくえを考えるうえでは、著作権をはじめとする各種の知的財産権の「内容」もさることながら、そうした「◆◆」を「誰がどう▲▲するか」も決定的な要因です。米国のさるIT企業の幹部は最近、世界のコンピュータデータは最終的に、グーグルやアマゾンなどの５つの米系企業のサーバーに集約されるだろうと予測されました。これはおそらく、情報の「××」を少数の企業が握るようになるという予測です。仮にこうした「××」とともに情報の「◆◆」をも握る者が現れれば、その者は情報の大海の覇者となるでしょう。
   < p221, p222 >

9. 情報は領土と違い、大勢の人間が共有しても少しも減りません。過度な「〇〇」には歯止めが必要でしょう。同時に、創作者がその知恵と努力に見合った「◇◇」を得て、明日の創作へと「△△」できることも重要です。情報の活発な流通をはかりつつ、いかに創作者側に「◇◇」を還元していくか。そこに新しい創造やビジネス、豊かで多様な社会にとっての鍵があります。議論の過程で、曖昧で不公正な「●●領域」は明確化されていくべきです。しかし、筆者は、「●●領域」がまったく「◆◆」べきだとは思いません。「多次的創作」で触れたとおり、そのなかには、微妙に関係者の価値観やビジネス上の事情が反映され、バランスがはかられているケースがあるからです。創作や流通の現場を知り、現場を動かす「◆◆」のメカニズムを知ること。そのうえで、文化と社会の未来を見据えたねばり強い思考や対話から、情報の大航海時代を乗り切る「××」としての著作権の未来を考えていくことが大切だろうと思います。
   < p222, p223 > 

復習リマインダー

　　中津川 進一

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