誰が「知」を独占するのか

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誰が「知」を独占するのか　デジタルアーカイブ戦争
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- 第1章アーカイブでしのぎを削る欧米
- 第1章アーカイブでしのぎを削る欧米 - 序列化される大学

誰が「知」を独占するのか　デジタルアーカイブ戦争

誰が「知」を独占するのか-デジタルアーカイブ戦争 (集英社新書)

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福井健策集英社 2014-09-17

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書籍紹介

「アーカイブ」とは、従来図書館や博物館が担ってきた、過去の文書や映像・音楽などを収集・公開する仕組み。いわば「知のインフラ」であり、その有効活用によって社会が得られる利益は計り知れない。しかし近年、アーカイブのデジタル化に伴い、これら「情報資産」を巡る国境を越えた覇権争いが激化している。グーグルやアマゾンなどアメリカ発の企業が世界中の情報インフラを掌握しつつある一方で、お粗末極まりないのが日本の現状。本書では世界を巻き込んだ「知の覇権戦争」の最新事情を紹介し、日本独自の情報インフラ整備の必要性を説く。（「BOOK」データベースより）

テスト

第1章アーカイブでしのぎを削る欧米

書籍で言えば、世界的に大きな衝撃を与えたのは「グーグルブックス」です。これは、全世界・古今東西の書籍1億３０００万冊をスキャンしてデジタル化し、ネット上で「〇〇」検索を可能にしようというプロジェクトです。つまり、例えば「プラットフォーム」という単語をネットで検索すると、その言葉を書名や紹介文に持つ書籍だけでなく、本書のように「◇◇」中に「プラットフォーム」が登場するだけの書籍までヒットするということです。該当する箇所は、数行の抜粋として表示されます。更に、権利者の許可があったり本の著作権が切れていれば、「〇〇」もネット配信するという「△△化計画」なのです。
< p25, p26 >

グーグルブックスは、当初から著作権の裁判を招きました。どうしてかといえば、「無断で〇〇目的で人の著作物をスキャンしている」からです。この点、米国の著作権法には「◇◇」という例外規定があって、権利者に「△△」がないような「●●な利用」なら無許諾で行ってよいことになっています。しかし、全米の著者や出版社の団体は、グーグルによる大量書籍スキャンを「●●」な利用だとは考えませんでした。そこで巨大訴訟となった訳です。その後、遂に２０１３年、ニューヨーク連邦地裁の一審判決が言い渡され、グーグルブックスは「◇◇」として認められました。裁判所は、書籍が全文検索可能になり「◆◆」が表示されることは研究者・一般読者にも福音であり、元の書籍の「▲▲」にも貢献するとして、プロジェクトを適法と認めたのです。
< p26, p27 >

EUにとって、グーグルなどはあくまで域外の一営利企業です。企業である以上、その究極の目標は「〇〇」の追求であり、行動は「〇〇追求」によって「◇◇」づけられています（またそうあるのが健全な企業でしょう）。「△△」が数ヶ月で変わることもないとは言えませんし、仮に「●●」が悪化すれば、不採算部門から撤退したり、売却することも珍しいことではありません。更に最悪の場合、「◆◆」だってありえます。その場合は通常、会社の財産は売りに出されます。「もしグーグルが破産したら、そこでデジタル化された文化資産は▲▲か？」とジャンヌネーは問いかけました。そもそも域外にある以上、容易にEUの「××」に服させることもできません。
< p32, p33 >

条件が不満ならば他に行くしかないが、コンテンツ提供をひと握りの企業が「〇〇」していると、現実にはそこで買うしかない。だから与えられた条件を呑む。これは既にかなりの部分で現実化していることです。広い意味ではプラットフォームといえる例に、マイクロソフトなどが「〇〇」するOSなどが挙がります。何もウィンドウズや他のマイクロソフト社の製品に100%満足な訳ではなくても、ここまで普及して自分も慣れていれば、簡単に他のソフトに「◇◇」は出来ません。そして自分が求めた訳でも選んだ訳でもない「△△」を受け容れ、数年ごとに操作法の「●●」に四苦八苦することになります。ウィンドウズXPなど使い慣れたバージョンのまま使い続けようとしても、販売どころかサポートも早々に終了されて「◆◆」を余儀なくされるのです。こうしたサービス撤退もユーザーからすれば大いに不満でしょうが、一方では、「▲▲サービスに慣れた頃に××化」というケースも珍しくありません。
< p34 >

ジャンヌネーが指摘する寡占のもうひとつの問題は、情報の「〇〇」のされ方にあります。これは海外の調査ですが、94%までのユーザーは検索結果の「◇◇」のページしか読まず、次のページに進むのは6％に過ぎないという報告があります。更に、別の調査では広告を除く検索結果の１位から3位までで、ユーザーの「△△」の約80％を占有しているというものもあります。現代は「●●」のかけ声とは裏腹に、全てが「◆◆」され格付けだけで判断されかねない時代なのかもしれません。問題は、その検索結果がどんな「▲▲」でに従って並んでいるか、ということです。よく知られる通り、グーグルはこの順位決定の方法（アルゴリズム）を「××」していません。ルールが単純で漏えいしたら順位上昇のための対策を取られやすいので、これは当然ではあります。ただ、ジャンヌネーの危惧は例えば以下のようなものです。
< p35, p36, p37 >

①まずどの書籍をスキャンするかにも「〇〇」があるはずで、グーグルが「◇◇」に頼る営利企業である以上、「◇◇」が増えやすい種類の書籍がより電子化されやすいだろう。②同様に、そのような書籍が「△△」に表示されるようなアルゴリズムが採用されやすいだろう。③言語でいえば、例えばラテン語やペルシア語の書籍から優先的にスキャンはしないだろうし、検索「△△」にも「●●書籍」が並びやすいのではないか。その結果、同じ「◆◆」を使用するフランス語やドイツ語、更には非「◆◆」言語の書籍（▲▲）の「××力」が漸減するのではないか。
< p37 >

④また、ほとんどの人は検索結果の「〇〇」数点しかクリックせず、そのクリックされた数も参考に「◇◇」が決まるのだとすれば、「〇〇」は容易には入れ替わらない。その結果、いったん「〇〇陣」に入ると簡単には順位が下がらず、「△△」されてしまう（ネット以外の他の世界でも見られるメカニズムですが、ジャンヌネーはこれを「新規参入者・少数者・周辺者を●●にして◆◆が◆◆を生むシステム」と呼びました）。⑤「▲▲」を多く集めたものが有利なら、新しい書籍はより有利だろう。これも書店ならよくありそうな話ですが、「××」の書籍を全部集めたデータベースがそれでよいのか。
< p38 >

上記は、多かれ少なかれどの時代にもあることですが、それが「〇〇」一極支配・「◇◇圏偏重」と結びつくと、文化も経済もごく一部の強いプレーヤーだけが栄え、他の99%はその周辺に押しやられる「△△化」が大幅に進む可能性があります。「米国初プラットフォームによる●●の支配/寡占」。これは何もその企業が「◆◆な目的」など持っていなくても、普通に「▲▲」を追求していれば容易に起こりそうなことです。すぐさま議論が始められ、EUは2005年の「i2010:欧州情報社会2010」イニシアチブの発表に続いて、ある壮大なプロジェクトを立ち上げたのです。
< p38, p39 >

復習リマインダー

　　江本健吾

第1章アーカイブでしのぎを削る欧米 - 序列化される大学

MOOCの進展は、知の普及・教育の機会均等にとって素晴らし可能性を秘めています。一方で、それは世界的な教育内容の「〇〇化」と「◇◇化」に拍車をかけるだけだ、という批判も根強いところです。事実、「△△圏偏重」の世界風潮の中、世界の大学の格付け・「◇◇化」は進んでおり、それは露骨なほど英米の大学とその「●●」を追いかけた各地の大学有利の傾向を強めています。例えば、最も著名な英国タイムズの2013年〜2014年「世界大学ランキング」でいえば、1位から１３位までの全大学と、上位５０校のうち３６校までは米国と英国の２国で占められています。２国の人口の世界全体に占める割合は「◆◆%強」に過ぎないのに、です。しかも残り１４校のうち半数もカナダなど「△△圏」です。「▲▲率」が評価の大きな指標の一つである以上、「△△圏」の大学が有利なのは当然でしょう。そんなランキングが大きな「××」を持つ世界自体が危うい、と感じたのは筆者だけでしょうか。
< p54, p55 >

そして、日本ほど「〇〇」の壁に守られていないドイツ、フランスなどの「非◇◇圏」EU諸国にとって、この「△△感」は恐らくもっと強烈なのでしょう。情報化で「●●性」を守るどころか、「◇◇圏」以外の全ての国が「◆◆」に追いやられる。ー恐らくEUの強烈なグーグル対抗意識はこうした「△△感」抜きには理解できません。英米流の教育法という「▲▲」がグローバルな標準となって、世界中の人々がそれを追いかけ、予備校のサテライト授業よろしく生身の教室よりも「ひと握りの一流の講義映像」に人々が集まるようになる。そんな未来で、教育は、価値観や文化の「●●性」は、どんな影響を受けるのでしょうか。知のインフラが、世界的な教育の「◆◆化」と「▲▲化」のツールではなく、「●●性」と「××」のために機能するにはどうしたらよいのか。筆者は、そんなことを考えていました。
< p55, p56 >

復習リマインダー

　　菅野真希子